スパイスの話


店の棚の上の方に並んでるのはスパイスの缶です。ぱっと見なんだかよく分からなくなってるので本ですか?とか言われることもあります。 僕が昔働いていた吉祥寺のKuuKuuという店で実際に使っていたやつです。頻繁につかっていたクミンとかコリアンダーなんかはもう手の油で真っ黒です。その店のオープンの頃から使っていたものだろうから、もう30年とかになるのでしょうか。 僕はその店で20代の時間を過ごしていました。そこで旅好きのみんなが作る料理に触れ、自分でもあちこち行きながら仕事をし、スパイスによって立ち上がる記憶や物語のようなものにひかれて、そこにこだわった料理を作るようになりました。 その店が閉店となり、みんなで備品の整理をしているとき、同僚が、この缶は山王丸が持っていったらいいというようなことを言ってくれたときはうれしかった。なんだか認められたような気がしたのです。 そんな思い出の品。